染付菊彫蓋もの そめつけきくほりふたもの
高10.0cm 口径11.4cm 江戸時代末期
[佐世保市蔵]
「流水菊」の文様で、「菊花起こし」でつくられた菊と葉が張り付けられている。菊の花びらは三重になっているが、別々ではなく一つの塊りから彫り起こしたもの。薄いため焼成時に大きくへたるが、それがより植物らしい曲線となっている。菊の花、葉はともに生の段階で貼りつけられて、その後に絵付けが施された。葉の部分の藍色が濃いことから、本体に貼り付ける前、柔らかい状態で呉須を直接掛けたとも考えられる。蓋のつまみの部分は、透かし彫りの香炉などがつくられた烏帽子を象ったものとも考えられるが、不明。
この作品はみかわち焼の細工のなかでは多く、輸出されたと考えられ、イギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館にも所蔵されている。