Hirado Shōzan
Since the Edo period, this kiln has produced work with the traditional Mikawachi decorative motif of karako, Chinese children playing. Today the potters create modern karako designs. The kiln produces lively versions of decorative lions, elephants, children, and other traditional motifs interpreted in innovative ways.
- 住所
- 901 Mikawachi-cho, Sasebo-shi, Nagasaki-ken
- TEL/FAX
- 0956-30-8657 (gallery))
0956-30-7734 (studio) - hiradoshouzan@nifty.com
- 展示・販売所
- Showroom/sales room: Yes
- カード支払
- Credit cards: Yes
- 取り扱い
- Sold at: Tōkadō, THE COVER NIPPON, Hotel Okura Huis Ten Bosch, Unzen Kanko Hotel, Mikawachi Ceramics Museum, Mikawachi Ware Online Shop
- 代表的な技法
- Main techniques: Blue-and-white, designs of children playing
窯元「いま」語り
平戸松山窯 当主 中里月度務 なかざと・つとむ
植えつけてもらった「やきもの愛」
やきものに必要な技術や知識が身につくだろうと、佐賀県立有田工業高等学校に入学しました。デザイン科へは「やきものをつくるのは、技術よりセンス」という父の考えがあったからです。また将来、やきものを仕事にする人との出会いをさせたいという気持ちもあったと思います。
高校を卒業して、佐賀県立有田窯業大学校へ。それから東京・赤坂にある和食器専門店の陶香堂に入社しました。
その当時は、家業なんて継げばいいだけと思っていました。やきものを特に好きというわけではなかったですし、学校の授業はいい加減。父はそれに気づいていて、この陶香堂の仕事を学ぶことで意識を変えさせたかったのだと思います。
陶香堂はやきものの取引が専門ですが、ガラス工芸や塗り物もありました。また、地方からさまざまな番頭さんが出入りしていたので、産地の情報や事情、新作も、ここにいるだけですべてがわかります。また、見本市があるときは、いつも連れていってもらい、いろいろなやりとりを教わりました。
特に、当時の社長から「やきもの愛」を植えつけてもらい、生半可な意識を根こそぎ変えてもらったことは感謝の気持ちしかありません。この恩を何としても返したいという思いは今もあります。
3年間、陶香堂に勤め、平戸松山窯のレベルが今、どのくらいなのかというのがだいたいわかりました。自分が継ぐ以上、下げることはできない。どうやっても上げていこうと決意し、三川内に戻りました。
先人たちの仕事を研究する
それから父の前に座って、職人さんたちと絵を描く日々。祖父がロクロ師だったので、私はロクロに興味がありました。陶香堂で勤めていた間、やきものは絵重視ではなく、形と細部の仕上げが最も重要だということを教わっていました。だから三川内焼のロクロ職人さんを見て回り、つくり方を聞いて我流で勉強をしました。
絵は父から学びました。「筆はこう動かせ」という具体的なものではなく、「ふわっと行け」「シュッと動かせ」と擬音での感覚的な教え方だったので、最初は戸惑いましたけれど。
細い線を長く引くことを意識しだしたのは、実家に帰って5、6年後、デパートの催事を引き受けたのがきっかけです。そのときに初めて一般のお客様と、つくり手の私が同じ空間で話をする機会を経験しました。良い品でないと買ってもらえない。技術と商売が重なった瞬間でした。
染付にこだわりはじめたのは、15年前くらいから。先人たちの仕事を研究し、参考にするようになってきました。染付は初代清風与平(せいふうよへい)。細い線の技術は、三川内焼の名工で「三猿(さんえん)」と呼ばれた中里巳牛太(みまた)です。この二人の圧倒的な影響を重圧に感じながら目標としています。
つくり手にとって目指すべき人がいるのは大切なことです。もし、自分が次の後継者を育てるときには、こういう重圧を残しておかないといけないと思っています。三川内焼は江戸時代からの延長線上だけでなく、今つくり出すものすべてが未来の三川内焼へと続くもの。そのイメージを胸にいだきながら、やきものを手がけています。
インタビュー:2020年10月25日