染付陽刻鹿に紅葉文水指 そめつけようこくしかにもみじもんみずさし
高20.5cm 口径13.0cm 19世紀後半
[佐世保市蔵]
全面に一周しながら、鹿が染付と置き上げで、紅葉は染付で表されている。置き上げ以上に特徴的なのは、染付。鹿を見ると普通は濃(だ)みで染めてしまうところを、点描のような線描きを積み重ねている珍しい作品。点描は隣りの点とつぶし合うことも徹底されていることから、描くための何らかの道具がつくられて工夫されたと考えられる。吹墨ではないので、規則的に点を打つことのできる装置であったか。
手間のかかるていねいな描きぶりや、縁飾りが上下ともにないことから、江戸時代後期の作と見ることもできる。
本来は蓋つき壺であったことが、口縁部が無釉で蓋受けの溝があることからわかる。