染付菊花文蓋碗 そめつけきくかもんふたわん
高7.1cm 口径10.2cm 江戸時代後期
[佐世保市蔵]
口縁に向けて端反り(開き)、最後に口縁を少しつまみ上げた形をした蓋つきの茶碗である。蓋は端にかけて反った、すそ広がりの形をとり、端反る身(碗)の形に合わせてある。身の方には蓋を受ける段をつくらなくなった。
同形の碗は、有田で19世紀初期から制作されていた。特に身の部分は通称「反り碗」と呼ばれ、当時は流行となり数多く制作されて、それがみかわち焼に取り入れられたと考えられる。制作時期は、19世紀初期を遡ることはないと思われる。18世紀のものより呉須の色の青みが強く、人工的な顔料が含まれている可能性もある。
絵付けがぼてりとして濃(だ)みはやや簡略化したものとなっているのは、以前の時代より大量生産に向っていたとも考えられる。蓋と身の絵柄の均整も、古い時代のものと比べるとやや崩れている。器の薄さは有田とは異なる繊細さを保っているが、卵殻手とよばれる、輸出を視野に入れた品とも考えられる。