白磁象置物 はくじぞうおきもの
高10.1cm 長径19.3cm 江戸時代後期
[佐世保市蔵]
高火度の炎を経たはずなのに、刃で鋭く切られた土は屹立したまま。それが獅子のような勇ましく力強い印象を強めている。眉や髭の毛まで細密に彫られているが、類品のなかでもその迫力は傑出している。彫られた溝に釉が溜まり、その曲線が独特な柔らかさを生み出して、毛や筋肉の表情を自然なものにしている。瞳の部分だけ釉を抜き、中心に黒い彩色を施した。
象は日本では長らく伝説の動物であったが、長崎には18世紀初頭と19世紀初頭に渡来しているので、この作品の誕生にはそうした背景も考えられる。